この記事は Feedforce Advent Calendar 2020 の 10日目の記事です。
昨日はkano-eさんの「 2020年のフィードフォース ボドゲ部について」でした。
kano-eさんはよくお菓子をくれます。
前置き
このサイトを運営している私こと小飼は、2020年末現在株式会社フィードフォースに所属しており、この記事は同社のアドベントカレンダー参加記事となっています。
会社関連の話と言って良いのかどうか、個人で始めた洋書の輸入販売のECショップの話をさせてもらおうと思います。
なぜ
私は株式会社フィードフォースというWebマーケティング関連の企業でエンジニアを拝命しています。
最近は縁あって新規事業開拓の班に所属させてもらい、夏頃からShopifyというe-commerce SaaSで使えるアプリの開発をしております。
想像から始まる開発
記事執筆時点でフィードフォースが直接運営しているショップは存在しませんので、アプリのアイディアは「マーチャントはAで困っているのではないか」ということから発想しています。
発想したアイディアが実は全く求められていないものだった、ということが起こらないような メソッド は実践しているのですが、 仮想の中で考えているに過ぎないという「足りなさ」を感じることがあります。
この足りてなさを埋めるために自分のショップを持ってみたかった、と言うのが根底の動機です。
身銭を切ること
それだけなら業務としてやれば良いようなものですが(実際にそういう企画はよく立ち上がっています)、 自分で身銭を切ったショップなら業務上適切でない施策にも気軽に取り組めます。
(労力を割く意義の薄いアプリの開発など)
実際にやってみて分かったのですが、ECサイトの運営は個人開発のアイディアの元としても結構よく使えるので、個人開発で作るものが思いつかないという向きにもオススメです。
(ないと不便だけど公共のアプリとして一般化するのは難しいようなアイディアが必ず出てくる)
なにを
ショップを持つと決めたら、次に考えるのは「何のショップを出すのか」です。
Tシャツやマグカップ
身銭を切るからということもありますが、本当に売るつもりのあるものでなければショップを持つ意味がありません。
すぐに思いつくのはTシャツやマグカップ、アクリルスタンド、缶バッジなどのプリント商品などですが、これらは供給がコモディティ化し切っている商材だけに、プリントするものに訴求力がない限り勝負になりません。
他人より少しだけ詳しいもの
次に考えるのが、自分が他人より知っている商材はないのかということです。
私は社内の共有会などで技術書の紹介をすることが多く、特に洋書になるとほとんど紹介する人がいないことに気づきました。 つまり技術書なら多少なりとも他人より詳しい可能性があるわけです。
しかも本は元々好きなので、本の販売なら熱意を持って取り組める気がします。
どうやって
テーマに出来そうな商材の候補が出てきたので、簡単に調べてみます。
はっきり覚えていないですが「洋書 販売 仕入れ」などで検索すると、なつかしの 教えて!goo に回答が付いていました。
「海外の出版社と直接取引出来ないかと思っているのですが、無理でしょうか?」これを聞くような根性では起業も開業も駄目なのですよ。
なかなか手厳しい回答が付いていますが、一理あります。
出版社への問い合わせ
早速これはと思う数社に問い合わせてみると、 出版取次と呼ばれる業者 を紹介されます。 (大体どこの出版社にも、問い合わせフォームに仕入れ関連の選択肢がありました)
そう言えば和書でもトーハンや日販の名前を聞いたことがあります。
出版取次 Ingram Content Group
早速紹介されたIngramという会社に問い合わせてみると、アカウントを作れとのこと。なんでもtoBのECサイトのようなものがあり、個人事業主・企業を問わずそこから仕入れているそう。
後から知ったのですが、Ingram Content Groupというその会社は、出版関連のあらゆるサービスを取り扱っており、書店向けECサイト以外にも、出版社向けのDAM、著者向けのCMS、物流、教育などのアプリケーションを提供しているようです。
00:50
くらいから、そのECサイトのUIが見れます。
Easy To Useという主張には意義を唱えたいような気もしますが(昔のECサイトっぽい)、膨大な量の洋書を取り扱っているようで、ザッピングしているだけでもかなり楽しいです。
ともかく、このiPageというサービスにアカウントを作ってクレジットカードを登録すれば、洋書の仕入れが出来るようです。
出版社からの返事やiPageへのクレジットカードの登録後のverification(人間がやっている様子)の待ち時間にShopifyのストア構築を進めておいて、週末だけで洋書の輸入販売ショップが完成しました。
それがこのサイト、 今見てもらっているこのサイト です。
(このブログポストは、Shopify備え付けのブログ機能でそのショップの中のコンテンツとして書かれています)
最初の仕入れ品が到着して興奮する様子
ところで k9bookshelf という屋号は、犬(k9)と本棚(bookshelf)という好きな単語を組み合わせただけのものなので深い意味はないのですが、 先日仕入れの国際便が届いた時に宅配業者の方に「ケーキューブックス?」と読まれて若干赤面しました。
(犬のk9なので、 ケーナイン と読んで欲しい)
開店後
店の中核である商材の目処が付いたので、周りも固めていきます。
商品以外に必要なもの
まず、ECサイトなので当然発送をしますから、発送用の梱包を手配します。
Amazonで書籍を購入した時に使われているような梱包 がAmazonで買えます。 メタっぽい構造で興奮しますね。
書籍なので保管の上で湿気は厳禁ですから、 保管用の箱 と 脱湿剤 も手配します。 (ドロップシッピングのオプションもあったのですが、取扱量の下限が高めだったのでやりませんでした)
この辺、全然見当違いのものを買っているかも知れないので、若干不安です。
とは言え、これで一応本屋の体裁が出来てきました。
あとはぜひオススメしたいような書籍を見繕って並べていくだけです。
ノー・ノーコード
仕入れた書籍の商品データをShopifyのショップにインポートするのが結構面白い開発アイディアになったので、いずれその記事も書きたいと思っています。
社内の日報でもよく書いていたのですが、書誌情報のフォーマットは種類が多く(10種類近いフォーマットでダウンロード出来る。。。)、中々に闇の深い領域のようです。
私は一番情報量が多そうなOnix for books 2.1というフォーマット(2012年!に3系への強い移行勧告が出ている)を使って商品データを作成しています。
XMLに書誌情報のためのタグや属性が決められているといったフォーマットで、 インポートツール を自作しています。
まとめ
このサイトを始めたきっかけや、始めるにあたっての準備などをツラツラと書きました。
最後にいくつかオススメしておきたい本を並べておきます。
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Introducing Python
- アドベントカレンダー7日目の データ分析チーム内でPython勉強会を始めた話 で題材にされている教科書の最新の版です。
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Exercises for Programmers 57 Challenges to Develop Your Coding Skills
- 問題集的な書籍は、電子版より物理版の方が使い勝手が良さそうです。書き込めるし。
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The Maker’s Guide to the Zombie Apocalypse
- ゾンビアポカリプスにはArduinoやRaspberryPiで作った早期警戒システムで対抗しましょう。国際物流が生きている内に各種資材を入手しておくようにという注意書きがあります。
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Programming Webassembly with Rust
- RustでWasmに入門しましょう。WASIに昇華されたブラウザ外のWasmランタイムについて紙面が割かれています。まだ和書ではあまり取り上げられていないジャンルです
以上です。
洋書で勉強会を催したいという要望には積極的にお応えしたいと思っていますので、何かあればご連絡下さい。
明日はsukechannnnの「今年1年の振り返り的な何かを書きたい」です。
お楽しみに!